k_orito氏作による在野シナリオ第2弾「勝頼他になし」です。
お楽しみください。(^^)
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シナリオ解説:
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「勝頼他になし」
天正二(1574)年正月元旦、織田信長は岐阜城内で、諸将を集めて、盛大な新年宴会を催した。
各地から取り寄せられた美酒、美肴が並ぶなか一段と諸将の眼を牽くものがあった。三つの朱色の膳の上にそれぞれ金色に輝く髑髏が置いてあった。髑髏は漆で塗り固めて磨き上げられ、その上に金粉を塗りつけていた。前年夏に戦死した、朝倉左京大夫義景、浅井下野守久政、浅井備前守長政の首であった。信長は諸将に、余はこの上なき酒の肴をしつらえたり、と得意げに語り、諸将は、内心恐怖におののきながらも、座は大いに盛り上がった。
三月、信長は兵三千をもって京都に侵入し、朝廷に対し奉り、東大寺正倉院の御物、名香蘭奢待を要求した。朝廷はこれをしりぞけることができずに、蘭奢待は古式の作法通り、長さ一寸八分切り取られ信長に与えられた。蘭奢待が下賜されたのは、八代将軍足利義政のとき以来始めてのことだった。
この報は諸将を刺戟した。本願寺派集団はこれを専横極まりないことと非難し、大和の松永久秀は謀反の機を窺い、越後の上杉謙信は信長への姿勢を一変させた。一方、多くの畿内の国人達は、信長の権力がついにそこまで高められたのだ、と理解して、信長の前にひれ伏した。信長は敵対勢力を根こそぎ滅ぼすやり方を好んだ。反織田勢力は、中国の毛利、甲信の武田を筆頭に、いまや天下人たらんとする信長に、全力を挙げて抵抗するしか生きる道は無かった。
前年の元亀四年四月に、偉大な当主信玄を失った武田では、外敵信長を前に、ようやく勝頼を当主としてまとまろうとしていた。勝頼ここにあり、武田は今尚健在たりと日本中に喧伝するかの如く、甲信に動員が行き渡り、今まさに新しい戦いが始まろうとしていた。
当時、武田軍中ではこのような戯歌が流行っていた。
代替り飛鳥おとす御威勢は 勝頼ほかになしと見えたり・・・
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ご意見・ご感想大歓迎です。
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作者より一言:
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こだわりというほどのことでもないですが、以下のことに注意して製作しました。
- 武将の能力値ですが「乱世の覇者」と「覇王を継ぐ者」の間に見られる能力の成長をもとに計算した "成長方程式" を取り入れています。「乱世の覇者」の武将がそのまま成長したらこうなるはず、という能力値でプレイできます。ちなみに拙作「覇者の憂鬱」でも同様の計算を行っております。
- 国の石高も「乱世の覇者」と「覇王を継ぐ者」の間ではだいぶ違いますが、この違いを年数で平均して、経過した年数分増やすことで自然増加を再現しました。また、東北地方の最大石高は年々微妙に増えていますが、これも両シナリオ間の差異をもとに自然増加されているように再現しました。
- 死んだ武将の後継ぎに妙な名前が出てこないように、登場しない武将の名前にも気を配っています。「xx守」「xx助」や「修理亮」「弾正忠」などの官職名をふんだんに使用し、また私の独断で "妙である" と判断した名前は再登場不許可フラグを立てております。(これで安泰のはずなんですが、不許可フラグの武将の名前が登場してしまいます。一定以上に不許可武将が増えると処理が変わるんでしょうか?)
0人プレイ状態で推移して、ほぼ史実どうりの展開になるので、プレイヤーがやると大勢力は簡単かもしれません。これから伸びるぞ、ってあたりの小大名なんかでやるとスリリングだと思います。武田でスリリングな展開をお望みの方は、是非、拙作「覇者の憂鬱」をプレイしてみてください。
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参考文献:
- 新田次郎「武田勝頼」講談社
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最後に:
- このシナリオ作成に当たっては、身勝手Papa様作の天下統一エディタを使用させていただきました。この場を借りてお礼いたします。
- 助言を頂いた友人のルナルに感謝します。
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更新歴:
- '00/11/11:初公開
- '00/11/15:データ更新
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インストール方法:
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解凍後、「シナリオ開始前のフォルダ」に全ファイルをコピーしてください。
「シナリオ集」の場合、「Da」「Db」「Dc」「Dd」「De」「Df」「Dg」。「相剋の果て」の場合、「Da」「Db」「Dc」「Dd」。「乱世の覇者」の場合、「Da」「Db」「Dc」のどれかのフォルダです。
天下統一のオリジナルシナリオファイルは必ずバックアップしてください。
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作者:
>k_orito氏
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